旅のモバイル通信[2000.01 Up]


旅のモバイル通信
1.はじめにアウトドアモバイル
海外旅行(国内旅行)で、必ずモバイルをしています。家族や友人、会社との連絡やメーリングリストのチェックなど欠かせません。また、旅先で知りあった人と即時メールがやり取りできるのは、ビジネスの場合特に欠かせません。さらに、WWWをつかって土地の最新の現地情報を入手できるのもモバイルならではです。海外旅行から帰国する機内でNHKニュースに釘付けになりませんか?知らず知らずに日本や故郷の情報を欲しているのです。これもWWWへアクセスできるモバイルなら即効でニュースをしることができます。
こんなに便利なモバイルも”情報から隔絶されたい”人には不向きです。私も年に何回かそんな気分になることもありますが、そんな時にはそもそもモバイルは不要です。
モバイルは重要!、情報アクセスが必要だと判っていているの人にもこんな人達がいます。”WWWくらいなら現地のPCで”とか”電子メールはAT&TのTOD使えば”、”私は英語得意だから日本語PCいらない”、”Windows2000は多国語対応だろ”などの理由でモバイル不要論をいう人がいますが、間違いです。日本の人とメールをすると日本語です。日本のニュースサイトは日本語です。(英文のアップデートは遅い)従って、日本語を表示し入力するために、日本語フォントとFEPが絶対必要になります。日本語システムをCD−ROMに入れて現地のPCを片っ端から日本語化する強者もいますが、世間の迷惑です。やっぱりモバイルは必要です。
ここでは、モバイルが必要だと思う方々へ実体験を通して旅のモバイル通信について説明してゆきます。

2.準備
1)プロバイダに加入する
 Internetマガジンなど読んで自分の必要とする地域のアクセスポイントを自前もしくはローミングで確保でき、費用がリーズナブルなプロバイダを選びましょう。自分の加入するメールサーバが簡単に他の無料アクセスポイントから接続できる技術とセキュリティを知っているならばアクセスポイントは無関係です。インタネット黎明期には、”俺は海外出張が多いからニフティやAOLのようなパソコン通信は解約してインターネットに加入したよ!なんといってもインターネットは世界中に網の目のようにつながっていてどこからでもアクセスできるからな!”と電車や飲み屋で自慢している人達がいましたが間違いです。ニフティやAOLほどアクセスポイントが充実しているプロバイダは当時IBM(現AT&T)くらいでした。モバイル端末をWindowsやMACに限定するならAOLがおすすめです。モバイルに適したPDA(WindowsCEを含む)にはAOLのクライアントがありません。従って軽いPDAを使うならニフティを含むプロバイダが妥当です。
私は、最初、日本のアクセスポイントしか無いプロバイダをつかってUSから1回のアクセスで20$(2200円くらい)を使っていました。その後、AOL、BT−NISと変えてゆき現在のBTの日本法人が運営するMYHarmonixを使用しています。

2)ハードウエアをそろえる

ROAD WARRIOR
安心のロードウォーリア(ROAD WARRIOR)

国内、海外どちらでも持ち物は少ないほうがよいです。そして可用性、機動性を重視したものを用意すべきです。旅に出て足りない物は何でも現地調達できるのですが、靴と常備薬、モバイルグッズはあらかじめ用意すべきでしょう。PDA本体はどこでも売っていますが、モデムや変換プラグはなかなか入手できません。秋葉原ならばアイツーモバイル専科で購入するとよいでしょう。モバイル系のブランドでチェックしたいのがPDA本体以外を提供する”ロードウォーリア”はその品種の多さと堅実さが受けています。
・PDA(PC):¥20000〜¥200000
 ・自分のプロバイダが使用できるアプリケーションの動くOSが動く事
  *ローミングに特殊なアプリケーションもしくは設定を必要とする場合があります。
   Windows95以降なら大体対応している様です。
 ・モデムが交換もしくは別付けできる事
  *随分問題は解決されてきていますが、ホテルの交換機の特性などで
   いつも使っているモデムが使えない場合があります。
   また、PHS,PDCを用いる場合もあるでしょうから重要です。
 ・バッテリーが容易に確保できる事
  *バッテリー切れは要注意です。最近の大容量バッテリーでも数時間が
   限度です。予備バッテリーや充電機をもつか乾電池で応急処置が
   できるような機器がよいです。最近のPDAはカラー、多機能化で
   乾電池が使えなくなってきているのは残念です。
  *大容量バッテリーはあらかじめゆっくり充放電をおこなってから
   持ち歩きましょう。いきなりだと充電に時間がかかりすぎます。
  *JALなどのビジネスクラス以上ではモバイルバッテリの
   貸し出しサービスがありますが、プラグ形状が丸型です。
   リブレットなど形状、極性、最大電流量が異なる機器を
   所有している場合は使用できません。
  *機内持ちこみ検査や入国検査でPDAやPCの起動を要求される
   場合も多々あります。電源確保を忘れずに!
 ・小型軽量であること
 ・バックアップストレージが使える事
  *PCカードでもフラッシュメモリ、メモリスティック、FDなど
   何でもかまいません。旅先で入手したデータの保存や
   万が一クラッシュした場合の復元データ(OSによっては不可能な
   場合が多いです...)の組みこみなどに使えます。
・モデム:¥10000〜¥30000
 ・特殊なドライバを必要としない事
 ・消費電力が小さい事
  *少ないPDAの電源をできるだけモデムの為に消費しないようしましょう。
  *一般回線用カードモデムの消費電力は大きなものです。
   一方PDC用カードモデムは総じて消費電力が小さい様です。
  *あまり手に入らなくなっていますが、シリアルポート経由のモデムは
   自ら電源を確保する構造なのでPDAには便利です。
 ・あまり高速ではない事
  *海外ローミングやPDC経由は14.4kbpsが限度です。56kなんて
   消費電力が増えるだけで無意味です。
・ケーブル類:¥500〜¥4000

モデムキット
上:モジュラーケーブル
下左:電源トランス、下中:カードモデム、
下右:モデムセーバ
電源プラグ
ロードウォーリア製
サスコム
モジュラプラグ
各国のモジュラー変換プラグ

 ・モジュラーケーブル(電話線)は1対以上必要
  *モジュラーケーブルは、特殊なものでなくとも家庭用でかまいません。
   2m程度は欲しい物です。ホテルの電話機に差しこんだりして使います。
 ・PDC,PHSモデム用専用ケーブル
  *それぞれのモデムに添付されているケーブルです。
・モデムセーバー:¥6000〜¥9000
  *電話回線の生死確認や極性反転、負荷電流検出などに使用します。
   虎の子のモデムを壊さないようにするための必須アイテムです。
・電源トランス(海外):¥3000〜10000
 ・100Vの日本以外で使用するには変動の大きい電力事情も考えて
  安定化回路入り電圧変換用のトランスが必要。
 ・100−120V、200−240V両用である事
  *海外仕様のACアダプタを装備しているPDA(PC)の場合、
   アダプタのトランスは対応していても、トランスから電源プラグまでの
   ケーブルが100V仕様の場合があります。長時間使うと熱を帯びる事も
   あるので、事前にケーブルを買うかトランスを使いましょう。
・電源変換プラグ(海外):¥1000〜¥3000
 ・国毎に、日本のプラグへ変換できるプラグを用意する事

  *成田でも購入できる国別のプラグでよいのですが、去年末くらいに
   1個でほとんどのプラグ形状をカバーするユニバーサルプラグが
   ロードウォーリアブランドで販売されています。ヨーロッパ周遊など
   プラグ種別が色々ある海外モバイルにはうってつけです。
・モジュラー変換プラグ(海外):¥1000〜¥3000
 ・国毎に、日本のプラグへ変換できるプラグを用意する事
  *これは専門ショップで入手しておきましょう。USと日本は同じですが、
   UKは違います。UKのヒースロー空港の電気屋さんでは変換プラグを
   みかけました。


・私のモバイルスタイル(参考にはならないかな...)
色々変遷は有りますが、PDA本体以外は数年来使っているものばかりです。
PDAは、TP220(IBM:Windows3.1)->HP200LX(HP:MS-DOS)−>CASSIOPEA(CASIO:WindowsCE)−>Libretto(TOSHIBA:Windows98)−>HP200LX(HP:MS-DOS)と変遷しています。屋外での視認性、長時間バッテリ、小型軽量という機動性重視で選択しています。多機能とデスクトップPCとの真親和性ではLibrettoが最高で、期待外れはCASSIOPEAでしょうか...最もバランスがよいのがHP200LXです。HP200LXにはフラッシュディスク40MBを装着しています。このフラッシュディスク経由で自宅や会社、出先のPCとデータ交換しています。ちなみにスケジュールなどのPIM系はRuputerPRO(SII:DOS)を常用しています。

国内 海外
国内基本装備
海外追加装備

周辺機器は、国内移動の場合、TU-KA携帯電話(日本全国どこでも1分10円のレートで9.6kbps通信可能)、PDCカードモデムとPDCケーブルです。予備の乾電池は、PDA用とPDC用を常に携帯しています。あとデジタルカメラ(CASIO:QV10A)を持ち歩いています。画素が少ないですが反応の速さを生かしてメモ代りに使っています。
海外移動の場合は、国内モバイルキットに加えてカードモデム2個(メガヘルツ:28.8kbpsとIBM:9.6kbps)、モジュラケーブル2本、ACアダプタ、電源トランス、行き先別電話プラグ変換アダプタ、行き先別電源変換プラグ、モジュラーケーブル2本、電話極性変換コネクタ、モデムセーバー、音響カプラを装備します。カードモデムは、電話回線用で、電話交換機との相性を考えて別ものを2個用意しています。ACアダプタは、カードモデムの消費電力が大きいので使用します。音響カプラはモジュラーが使えない場合や公衆電話を使う場合に使用します。

3.使用例
1)出発前
・アクセスポイントの確認
・海外へ行く場合は電源プラグ、電話モジュラの形式を調査
AT&Tのページで確認しましょう!http://www.att.ne.jp/hamihami/gr/
・忘れ物が無い様にチェックリストでチェック
・バッテリの充電と乾電池の準備
 #単3電池はどこでも手に入りますが、単4、5、006P等入手できない
  場合があります。注意!!
・未設定の機器は事前に必要なソフトウエアのインストールと共におこないましょう。
 #ソフトウエアによっては外部デバイスやWWWからのダウンロードを必要と
  する場合が多くあるので事前によく確認しましょう。
・海外のアクセスポイントの動作をどうしても事前に確認したい場合は、
 KDD経由で接続を試すのが妥当です。
2)国内
・携帯電話(PDC)、PHSの場合
 ・PDAの通信設定を移動したもよりアクセスポイントへ変更
  #電話番号の変更が不要なローミング系のプロバイダや
   PDC,PHSの定額制度を用いている場合は不要です。
 ・携帯電話(PDC)やPHSの場合は、PDC(PHS)用カードモデムを
  PDAにセットしダイアルアップにて接続します。
・ホテルやグレ電の場合
 ・電話回線用のモデムは電力を食います。従って、PDAのバッテリに
  十分な余裕が無い場合は、ACアダプタをセットし電力のバックアップを
  おこないます。
  #おすすめはしませんが、電話ボックス以外のグレ電は
必ずACコンセントそばにあるのでテーブルタップなどで分電して給電します。
ちなみに充電ポイントとしては、便座ウォーマのある個室、自販機のわきなどで
   さりげなくおこないましょう^^;
 ・PDAの通信設定を移動したもよりアクセスポイントへ変更し、外線発信の
  0を追加します。
  #電話番号の変更が不要なローミング系のプロバイダの場合は不要です。
  #ホテルの外線発信は大概0ですが、確認しましょう。
 ・モデムセーバで電話回線の生死確認をします。
  #ホテルの電話はあまり問題ありませんが、グレ電の場合アナログポートの意味が
   判らない愛煙家によって焼かれていて使えない場合が多々あります。
 ・モジュラケーブルでポートとPDAをつないでダイアルアップにて接続します。
3)海外
・旅の本を読むと”ホテルの電話は高いので公衆電話をつかいましょう”等と
 よく書いてありますが、モバイルに関しては事情が違います。
 日本国内と違いデータポート付きの公衆電話には空港など一部以外は
 目にする事はありません。従って、ホテルの電話回線をフロントで
 開けてもらい部屋からモバイルしましょう。
 #私は、USやUKで音響カプラを使ってモバイルした事があります。

カプラー
音響カプラと低速モデム

  周囲が静かで安全な場所を選んで、ノンオペレータコールでつなぎました。
  2400bps程度の効率でつながりましたが、時々電話局のオペレータに
  ”ノンボイス”とか言われてきられた事があります。周囲の人も奇異な感じで
  みていました。身の安全と確実さを考えればホテル室内からモバイルしましょう。
・電話回線用のモデムは電力を食います。従って、PDAのバッテリに
 十分な余裕が無い場合は、ACアダプタをセットし電力のバックアップを
 おこないます。ACアダプタには、必要に応じて電源変換プラグと電源トランスを
 とりつけます。
・PDAの通信設定を移動したもよりアクセスポイントへ変更し、外線発信の
 9を追加します。
 #電話番号の変更が不要なローミング系のプロバイダの場合は不要です。
 #ホテルの外線発信は大概9か8ですが、確認しましょう。
・モジュラケーブルにはモジュラ変換アダプタをとりつけます。
・モデムセーバで電話回線の生死確認をします。
・OKな場合は、モジュラケーブルでポートとPDAをつないで
ダイアルアップにて接続します。接続によく失敗する場合は、
  電話番号の確認後、通信速度を9.6kbps程度に遅くします。
・極性反転の場合は、使用できません。どうしてもつなぎたい場合は、
  モジュラケーブルを2本用意して途中に極性を反転させるモジュラコネクタを
  挟みこんでからポートとPDAをつないでダイアルアップにて接続します。
  接続によく失敗する場合は、電話番号の確認後、通信速度を
  9.6kbps程度に遅くします。
・電流検出の場合は、使用できません。どうしてもつなぎたい場合は、
  テレフォンモジュラーを使用するか音響カプラを用意してハンドセット経由で
  PDAをつないでダイアルアップにて接続します。
  接続によく失敗する場合は、電話番号の確認後、通信速度を
  4.8kbps程度に遅くします。
  #音響カプラは結構使えますが、ホテルの電話がダイアルの場合や
   オペレータ経由の場合に使用するのはとても大変です。
   きっとできないと思います。


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